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日経平均株価は当面「3万9000円±1000円」のボックス相場に! 年末までは「節税売り」を警戒し、個人投資家の関与率が高くて株価が崩れている銘柄には要注意

2024年12月17日公開(2024年12月17日更新)
藤井 英敏
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米国では、長期金利が上昇してもハイテク株が買われ、
ナスダック総合株価指数が非常に強い動きを継続!

 今回も12月中旬の米国株株式市場の動向から確認していきましょう。米国の株式市場ではNYダウが弱く、ナスダック総合株価指数が強い動きになっています。 

 12月16日のNYダウは8日続落し、前週末比110.58ドル(0.25%)安の4万3717.48ドルでした。8日続落は2018年6月以来のことです。一方、ナスダック総合株価指数は続伸し、同247.17ポイント(1.24%)高の2万173.89ポイントと、11日以来の最高値更新となりました。

■NYダウチャート/日足・6カ月
NYダウチャート/日足・6カ月NYダウチャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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■ナスダック総合株価指数チャート/日足・6カ月
ナスダック総合株価指数チャート/日足・6カ月ナスダック総合株価指数チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 米国では長期金利が上昇基調でもハイテク株への資金流入が続いており、それによりナスダック総合株価指数が非常に強い動きを続けているのです。

 12月16日の米国10年債利回りは一時4.41%と3週間ぶりの高水準をつけ、最終的に前週末比0.01%高の4.40%で取引を終えました。長期金利が上昇基調なのは、政策金利が高止まりしているにもかかわらず、米国経済が堅調でインフレ懸念が根強いからです。

■米国10年債利回りチャート/日足・6カ月
米国10年債利回りチャート/日足・6カ月米国10年債利回りチャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 例えば、S&Pグローバルが12月16日に公表した12月の米PMI速報値は、56.6と11月の54.9から上昇し、2年9カ月ぶりの高水準でした。これを受け、市場では「米国の景気は底堅い」との認識が改めて強まっています。

 また、12月12日に発表された11月の米PPIは、前月比の上昇率が0.4%と市場予想の0.2%を上回りました。さらに、13日発表の11月の米・輸入物価指数は前月比で0.1%上昇と、市場予想の0.2%下落に反して上昇しました。これらの物価指標から、インフレが依然として収まっていないとの見方が強まっているのです。

 堅調なマクロ指標の発表が相次ぐなか、FRBは12月17〜18日開催のFOMCで、0.25%の利下げを決める見通しです。ただし、政策金利見通し(ドットチャート)に関しては、2025年末時点の水準が前回9月から切り上がり、来年の利下げ幅は8回開かれるFOMCで合計0.50%程度(0.25%を2回)にとどまる可能性が指摘されています。このため、足元の米国の長期金利が上昇しているのです。

日銀は次回の金融政策決定会合で政策金利を据え置く見通しのため、
為替市場で円安が進み、日本株にとってポジティブな要因に!

 一方、国内の賃上げ動向が不透明なことや、トランプ次期米大統領の経済政策に対する不確実性などから、日銀は12月18〜19日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%で据え置く見通しです。

 ちなみに、日銀短観(2024年12月)では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が2期ぶりに改善しましたが、大企業・非製造業は2期ぶりの悪化となりました。また、非製造業のうち、小売りが前回の9月調査からマイナス15ポイント、宿泊・飲食がマイナス12ポイントとなるなど、個人消費に関わる業種で判断が大きく悪化しました。このように個人消費が低迷する状況下で、日銀が性急な利上げに動かないことは、景気の腰折れリスクを低下させるという意味で日本株にはポジティブな材料です。

 なお、外国為替市場では、日銀の追加利上げの見送り観測を受け、円が対ドルでも対ユーロでも売られています。この円安も、わが国の輸出関連企業の収益および株価への追い風で、日本株の下支え材料となります。

■米ドル/円チャート/日足・6カ月
米ドル/円チャート/日足・6カ月米ドル/円チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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日経平均株価は「アイランド・リバーサル」が気がかりだが、
25・75日移動平均線を下回るまでは弱気に転じる必要はなし

 日経平均株価については、テクニカル的な懸念材料があります。というのは、12月12日の日足のローソク足が「アイランド・リバーサル(離れ小島のような形になっている状態)」になったからです。高値圏でのアイランド・リバーサルの発生は、「天井」のシグナルとされています。

■日経平均株価チャート/日足・6カ月
日経平均株価チャート/日足・6カ月日経平均株価チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 ただし、12月17日の終値は3万9364.68円と、25日移動平均線(17日時点で3万8827.17円)、75日移動平均線(同3万8465.26円)をともに上回っています。つまり、テクニカル的には短期・中期の下値不安が乏しい状況です。

 よって、アイランド・リバーサルの発生は気がかりではあるものの、少なくとも25・75日移動平均線の2本を下回るまでは、弱気に転じる必要はないと考えています。結論として、当面の日経平均株価は3万9000円±1000円程度のボックス相場を想定しています。

 ですが、個投資家人の関与率が高く、チャートが崩れている(例えば、株価が25日移動平均線を下回り、かつ25日移動平均線自体が下降しているなど)銘柄に関しては、少なくとも年内受け渡し最終日の12月26日までは「節税売り(損出し売り)」が断続的に出続ける可能性があり、要注意です。

 実際、12月第1週(2〜6日)の投資部門別売買動向によれば、個人投資家は現物株式を4806億円売り越しました。この週の日経平均株価は週間で883.14円(2.31%)上昇したことから、当然のことながら「利食い売り」も出たでしょうが、私は、プライム市場の主力株で大きく儲けた個人からの「節税売り」も相当含まれていると見ています。

12/16〜17のFOMCと12/18〜19の日銀金融政策決定会合の後は、
よほどの材料が飛び出さない限り、日本株が大きく変動する可能性は低い

 12月17〜18日のFOMCと18〜19日の日銀金融政策決定会合を通過したら、年内の重要イベントはありません。海外投資家はクリスマス休暇入りし、よほどの材料が飛び出さない限り、日本株全体が大きく上下する可能性は低いと考えています。また、足元の米国経済が堅調であることに加え、トランプ次期米大統領の経済政策への期待も高いため、米国の株式市場が大きく崩れることもなさそうです。

 ただし、日本の場合は、日銀が利上げを躊躇するほど景気の腰は強くありません。このため、米国株式市場がハイテク株中心に絶好調で、かつ外国為替市場での円安効果があったとしても、日経平均株価は上値の重い状況が続く見通しです。

 このような状況を踏まえた投資戦略として、個人投資家の関与率の低い時価総額上位のバリュー株のうち、好業績が見込め、かつチャートが良好な強い値動きの銘柄に資金を寄せることをおすすめします。
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