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日経平均株価の上値が重い12月はハイテク株を避け、利上げが追い風になる「金融株」、低PER・低PBR・高配当利回りの「内需系バリュー大型株」を狙おう!

2025年12月16日公開
藤井 英敏
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12月の日銀短観は、短期的なインフレの継続など、
日銀の金融政策決定会合での利上げを後押しする結果に

 今週は、まず2025年12月15日に発表された日銀短観12月調査の結果を見てきましょう。まず、大企業・製造業の業況判断DIはプラス15と、前回9月調査のプラス14から1ポイント改善。3四半期連続で改善し、4年ぶりの高水準となりました。また、大企業・非製造業のDIはプラス34と、前回調査と比べて横ばいでした。

 一方、先行きのDIは、大企業・製造業がプラス15と横ばいの見込みで、大企業・非製造業がプラス28と6ポイント悪化する見込みです。

 製造業は、AI関連の需要増や米国の関税政策の不透明感が和らいだ影響で、幅広い業種が上向きました。しかし非製造業は、中国との関係悪化で訪日観光客が減少した影響が出てくるようです

 大企業・全産業の2025年度(計画)の設備投資額(含む土地投資額)は、前年比12.6%増と前回から0.1ポイント上方修正されました。人手不足対策や省力化投資が活発化していることが寄与しているようです。

 物価見通しについては、全規模・全産業の平均値(前回9月調査との比較)では、1年後が2.4%の上昇と前回から横ばいで、3年後と5年後も2.4%の上昇と日銀の物価安定目標である2%を超えており、短期的なインフレ圧力が続いていることを示しています。

 日銀は、12月18~19日に金融政策決定会合を開きますが、今年1月以来、7会合ぶりに利上げを実施し、政策金利を0.5%程度から0.75%程度に引き上げる見通しです。日銀は、米国の関税政策が国内企業の収益に与える影響は限定的であり、来年の春闘でも高い賃上げが実現すると見ているようで、今回発表された日銀短観は、その判断を後押しする結果となりました。

日銀の利上げに伴って利ザヤ拡大が期待できる「金融株」や、
負債の少ない「好財務企業」をメインに買っていくのが正解

 市場では、日銀金融政策決定会合後の12月19日に記者会見を行う植田和男総裁が、来年以降の利上げペースやターミナルレート(到達金利、中央銀行が金融引き締めサイクルで政策金利を最終的に到達させる水準)、そして景気を熱しも冷ましもしない中立金利の水準感についてどのような見解を示すかが注目されています。ちなみに、ターミナルレートについて市場の見方は分かれていますが、1.0〜1.5%程度が中心のようです。

 日銀は12月会合後も利上げを継続する姿勢ですが、経済・物価の反応を慎重に点検しながら進める方針のため、今後に関しても利上げで東京株式市場が急落する可能性は低いと見ています。

 ただし、利上げに伴い、住宅ローンの変動金利や企業の借入金利、預金金利など幅広い金利が上がることになります。このため、株式市場では「金利の正常化」が業績にプラスに寄与する企業の株が買われ、マイナスの影響を受ける企業の株価は上がりにくい状況となることが予想されます。

 つまり、今後は利ザヤ拡大が期待できる金融株や、負債の少ない好財務企業をメインに物色するべきと考えます。
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米ハイテク企業によるAIインフラへの過剰投資に対する
投資家の不安は、簡単には払拭されない見通し

 米国市場を見ると、12月12日のNYダウは3営業日ぶりに反落し、終値は前日比245.96ドル(0.50%)安の4万8458.05ドルでした。一方、S&P500種株価指数も3営業日ぶりに反落し、同73.59ポイント(1.06%)安の6827.41ポイントで終えました。前日11日に最高値を更新したことで、翌12日は高値警戒感から利益確定売りが勝ったと見ています。

 そして、週明け12月15日のNYダウは続落し、終値で前週末比41.49ドル(0.09%)安の4万8416.56ドル、S&P500種株価指数は同10.90ポイント(0.15%)安の6816.51ポイントでした。16日に11月の米・雇用統計の発表を控え、持ち高調整の売りが出たことがこの日の下落の主な要因と見ています。

■NYダウチャート/日足・3カ月
NYダウチャート/日足・3カ月NYダウチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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■S&P500指数チャート/日足・3カ月
S&P500指数チャート/日足・3カ月S&P500指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 一方、前週末12月12日のナスダック総合株価指数は続落し、同398.69ポイント(1.69%)安の2万3195.17ポイントでした。ナスダック総合株価指数に関しては、AI投資を巡る不透明感が強まっていることが売り材料として意識され続けており、12日についても、オープンAI向けに開発を進めている一部のデータセンターの完成が2027年から2028年にずれ込むとの報道が、AI・半導体関連株の売り材料になりました。

 そして、週明け12月15日のナスダック総合株価指数は3日続落し、前週末比137.76ポイント(0.59%)安の2万3057.41ポイントで終えました。この日は、ブロードコム(AVGO)オラクル(ORCL)に売りが続き、投資マインドを悪化させました。

■ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月
ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月ナスダック総合株価指数チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 ここ最近の米国市場では、ハイテク企業のAIインフラへの過剰投資に対する不安が燻り続けています。そしてこの不安はそう簡単には払拭されないと感じています。

AI・半導体株への不安感により日経平均株価の上値が重い一方、
金融株や自動車株が買われたことでTOPIXは連日で最高値を更新!

 こうなると、東京株式市場ではソフトバンクグループ(9984)アドバンテスト(6857)東京エレクトロン(8035)などの値がさ(株価水準の高い)のAI・半導体関連銘柄の上値の重い状況が続くことは不可避でしょう。その結果として、日経平均株価も上値の重い状況が継続する見通しです。つまり、日経平均株価が11月4日につけた高値5万2636.87円は、そう簡単に上抜けることはないと見ておく必要があります。

■日経平均株価チャート/日足・3カ月
日経平均株価チャート/日足・3カ月日経平均株価チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 一方、12月15日のTOPIXは続伸し、終値で前週末比7.64ポイント(0.22%)高の3431.47ポイントと、連日で最高値を更新しました。この日は、日銀による利上げが業績への追い風になる金融株や、(トランプ関税が引き続き業績の重荷となっているものの)株価に出遅れ感が強かった自動車株が買われました。
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■TOPIXチャート/日足・3カ月
TOPIXチャート/日足・3カ月TOPIXチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 結論として、12月の東京株式市場ではAI・半導体関連を中心としたハイテク株を避け、低PER・低PBR・高配当利回りの内需系バリュー大型株をメインに狙うべきと考えます。
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