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6月15日のNYダウは続伸し、前週末比157.62ドル高の2万5763.16ドルでした。その背景にあるのがFRBの景気支援策です。
FRBは、流通市場で社債を購入する制度「セカンダリーマーケット・コーポレートクレジットファシリティー(SMCCF)」を通じた社債の買い取りを始めると発表しました。また、同時に、中小・中堅企業向けの「メインストリート融資制度(MSLP)」を通じ、資本市場で資金を調達できない企業向けの融資も開始したと発表しました。このFRBの景気支援策が買い材料になりました。
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米国では「景況感の悪化」や「新型コロナの第2波」が警戒されるが、
FRBの強力な施策を考えると、米国株の過度な下値不安は高まりにくい
先週を振り替えると、6月11日のNYダウは急落し、前日比1861.82ドル(6.89%)安の25128.17ドルと、過去4番目の大きさの下げ幅を記録しました。この日の急落は、米国の景況感の悪化や、新型コロナウイルスの感染の「第2波」が警戒されたからです。
FRBは6月10日まで開いたFOMCで、雇用の回復ペースが鈍くなる可能性を指摘しました。 失業率は2020年が9.3%と、前回の3.5%から大きく引き上げられました。さらに、2021年は6.5%(前回予想3.6%)、2022年でも5.5%(同3.7%)と、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準を上回る状態が続くとの見通しを示しました。
また、米ジョンズ・ホプキンス大学の調べによれば、6月11日までに新型コロナウイルスの累計感染者は200万人を突破しました。カリフォルニア、フロリダ、テキサス州など、早い段階で経済再開に踏み切った州を中心に、6月に入って新型コロナウイルスの感染が再び拡大しています。このため、新型コロナウイルスの感染の第2波が現実味を帯びています。
ですが、最も大きく新型コロナウイルスの打撃を受けたニューヨーク州では、新規感染者、死者ともに減少傾向が続いています。このため、感染第2波がよほど深刻化しない限り、米国株については過度な下値不安の高まりは考えにくいでしょう。なぜならば、FRBが今後も長期間にわたって低金利を続け、過剰な流動性を供給するからです。
パウエルFRB議長は6月10日、FOMC終了後の記者会見で、「2022年まで政策金利の引き上げはないという見通しで参加者は一致している」「大規模な資産購入を引き続き実施していく」と述べています。
さらに、「先行きの新たな景気動向をにらみ、イールドカーブ・コントロール(YCC)は次回以降も議論する」と述べました。このため、仮に今後国債が大量に増発されても、FRBが国債を買って金利上昇を抑えることが期待できるため、米国の長期金利の上昇は避けられる見通しです。これも、米国株式相場を支えることでしょう。
日本市場の見通しは、しばらくの間
「海外投資家の買い vs 国内投資家の売り」が継続
一方、東京株式市場では、海外投資家が日本株をガンガン買っています。6月第1週(1日~5日)、海外投資家は日本株(現物)を2613億円買い越しました。また、日経平均先物とTOPIX先物を合算した買い越し額は5820億円でした。つまり海外投資家は、現物・先物合算で8433億円の大幅買い越しでした。
一方、個人は2980億円売り越しました。前週は3315億円の売り越しでした。6月第1週まで個人は3週連続の売り越しです。また、年金基金の売買動向を反映するとされる信託銀行の売り越し額は24億円と少額でしたが、4週連続で売り越しました。個人も信託銀行も「逆張り」を得意とし、好みます。このため、東京株式市場の需給関係は「海外投資家の買い・国内投資家(信託+個人)の売り」という状況が続く見通しです。
当面の日経平均株価は、「25日移動平均線」と
「5日移動平均線」の間で膠着状態が続く見通し
テクニカル的に見ると、6月15日の日経平均株価の終値は前週末比774.53円安の2万1530.95円と、5日移動平均線(15日現在2万2505.06円)を下回っているため、日経平均株価は調整局面入りした可能性が高そうです。ただし、日経平均株価が25日移動平均線(同2万1527.17円)を上回り続けている限り、3月19日の1万6358.19円を起点にしたリバウンド相場は継続しているとみてよいでしょう。
当面の日経平均株価に関しては、25日移動平均線と5日移動平均線との間で、膠着し、調整するというのがメインシナリオです。
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なお、日経平均株価は6月9日の2万3185.85円が目先の天井となり、15日には2万1529.83円まで1656.02円(7.14%)下落する場面がありました。また、15日終値は2万1530.95円です。ですが、この程度の下落では、ここ最近まで日経ダブルインバース上場投信(1357)(通称:ダブルインバ)を信用で買い建てたり、日経平均ブル2倍上場投信(1579)(通称:ダブルブル)を空売りしたりして、日経平均株価が下がる方向に賭けた投資家(売り方)は非常に苦しい状況が続いていると見てよいでしょう。
【※関連記事はこちら】
⇒日経平均株価のレバレッジ取引は「ダブルインバ」や「ダブルブル」よりも「日経平均先物」がおすすめ! 人気の「レバレッジ型ETF」はデイトレ向き金融商品
私は、売り方が一息つけるのは、日経平均株価が25日移動平均線を割り込むことが最低条件だと見ています。つまり、日経平均株価が25日移動平均線を上回って推移している限り、「売り方不利・買い方有利」の需給関係が継続すると考えています。よって、今後6月11日のような米国株の急落により日経平均株価が連れ安するような場面があったとしても、それは「相場のダマシ(ノイズ)」であり、「押し目買い好機」と判断すればよいでしょう。
25日移動平均線を割り込まない限りは「強気」のスタンスで!
ただし、割り込んだら「トレンド転換」と判断し、早めの撤退を
今後の投資スタンスとしては、日経平均株価が25日移動平均線を明確に割り込んで「テクニカル的な売りサイン」が点灯しない限り、個人投資家はノイズに右往左往せず、強気を維持し、上昇トレンドに乗り、上昇トレンドを友達にしたポジションを構築することに集中するべきだと思います。
その一方で、日経平均株価が25日移動平均線を明確に割り込んだら、それはノイズではなくトレンド転換を意味する本質的な下落と認識し、躊躇なく弱気に転じて、下落トレンド発生で自身のポートフォリオが痛まないように処置をしましょう。
最後に、新型コロナウイルスの第2波に関しては、市場がそれを理由に売る場面が今後もあると思います。しかしながら、ここ数カ月にわたる時間の経過の中で、このウイルスの特徴などはすでに判明しています。つまり、これは「既知のウイルス」です。そのため、「未知のウイルス」に怯えた2月下旬から3月中旬のようなパニック的な売りは出ず、あのときのような世界的な株式相場の急落は発生しないと見ています。
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