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「マルケタ」は「ウーバー」「スクエア」も利用する
カード発行プラットフォームを運営!
今週は、カード発行プラットフォームを運営するマルケタ(ティッカーシンボル:MQ)を紹介します。
マルケタのカード発行プラットフォームを利用すれば、企業は簡単にプリペイドカードやデビットカード、クレジットカードを発行することができます。例えば、ウーバー(ティッカーシンボル:UBER)やドアダッシュ(DASH)、アファーム(AFRM)、スクエア(SQ)などのサービスの背後では、マルケタのカード発行プラットフォームが利用されています。
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従来のクレジットカードの古いインフラと異なり、
「マルケタ」はクラウド上に柔軟性の高いシステムを構築
マルケタは、フィンテック企業やウェブ企業のエンジニアを主な顧客とするエンジニアによって興された企業です。
これまでクレジットカードなどのインフラストラクチャ(基盤)は、メインフレーム・コンピュータ上に構築されており、その中身もツギハギのソフトウェア・コードで書かれた硬直的かつ画一的なシステムでした。
クレジットカードなどによる支払いや取引台帳の管理者はイシュアー・プロセッサー(発行処理者)と呼ばれますが、これまでカードを発行する銀行のインフラストラクチャの中に組み込まれていました。それに対してマルケタのカード発行プラットフォームは、クラウド上に構築された従来のイシュアー・プロセッサーに取って代わるシステムで、最新のプログラミング言語で書かれています。
マルケタのカード発行プラットフォームを利用すれば、誰でも、どんな切り口でも簡単にクレジットカードなどを発行することが可能で、そのスペックに関しても発行者が自由にデザインすることができます。
つまり、銀行ではない一般企業でもクレジットカードなどを発行することが可能になったのです。さらに、長期的に使用する従来のクレジットカードやデビットカードだけでなく、必要に応じて「使い捨て」の感覚に近いカードも発行できるようになりました。
発行するカードは自由にスペックの設定が可能で、
「ヴァーチャルカード」や「トークン化」にも対応!
クレジットカードなどを発行したいフィンテック企業やウェブ企業などのディベロッパーは、まずマルケタのサイトに設けられたサンドボックス(外部へのアクセスが制限された保護領域)で自分のイメージしているカードを構築し、きちんと動くかどうかをテストすることができます。その際「1回の使用金額」や「どのような支払いに利用できるか?」などを詳細に規定することができます。
このテストでデベロッパーのイメージしたとおりにカードが作動することが確認できたら、すぐにヴァーチャルカードを発行できます。ここで発行されたヴァーチャルカードは、ビザやマスターカードなどとまったく同じように既存のネットワーク上で決済が可能です。
なお、マルケタのカード発行プラットフォームは、プラスチックカードを省いてインターネット上だけで利用できるヴァーチャルカードだけ発行することもできますし、実際にプラスチックカードを発行することも可能です。さらに、トークン化(カード情報を別の文字列に変換することで安全性を高める決済方法)にも対応しています。
また、マルケタのカード発行プラットフォームはオープンAPIを利用しており、カード発行者が革新的な利用形態を自由に発想、定義することができます。また、このカード発行プラットフォームを利用することで、容易にカードの利用状況に関する詳細なレポートを取得し、管理することができます。
カード発行プラットフォームの運営者に求められる
技術力や財務力などの高さが参入障壁に!
カード発行プラットフォームは極めて複雑であり、また、金融監督当局から厳しく監視されるため、運営者は高い技術力や財務力などが要求されます。そのため、マルケタが登場するまで誰もこのビジネスへの参入を試みませんでした。つまり、それだけ参入障壁の高いビジネスと言えます。
「ドアダッシュ」は、「マルケタ」で発行した
デビッドカードを配達員全員に配って事業を効率化!
マルケタを具体的な活用例としては、ドアダッシュが挙げられます。ドアダッシュは「ダッシャー」と呼ばれる配達員を雇うと、まず全員に「レッドカード」と呼ばれるデビットカードを発行します。
ダッシャーは、届け元のレストランに行って商品を受け取る際、レッドカードでレストランに対する支払いを行います。その裏でドアダッシュは、消費者から受けた注文に応じて瞬時に担当ダッシャーのレッドカードに必要金額を送り、決済できるようにしています。
つまり、商品の受け取り直前のタイミングでレッドカードに支払い許可を与えることで、ドアダッシュは日常の業務を遂行するにあたって必要となる運転資金を最小に留めているのです。
レッドカードはダッシャーの稼働記録も可能で、さらにダッシャーへの報酬の支払いも処理できます。
このように、発行者がカードの「使いたい局面」と「果たす役割」をあらかじめ細かく規定することで、さまざまなビジネスに活用することが可能となります。
「マルケタ」のビジネスモデルは従量課金制で、
取引が増えるほど売上高が増える仕組みに!
マルケタのカード発行プラットフォームは、クレジットカードなどの利用金額に応じて従量課金するビジネスモデルになっています。フィー(手数料)の大部分は、カードのトランザクション(取引)にまつわるインターチェンジ・フィーから得られます。インターチェンジ・フィーとは、カード取引の受け手側の銀行が出し手側の銀行に対して支払う従量フィーです。
その他、月次プラットフォーム・アクセス・フィーやATMフィー、不正使用モニタリングフィー、トークン化サービスフィーなどがあります。
マルケタの法人顧客はスクエア、ウーバー、ドアダッシュなど多数あります。また、マルケタのカード発行プラットフォームは、フィンテック企業やウェブ企業だけでなく、銀行も利用しています。
これらの顧客企業により、これまでに3.2億枚のカードが発行されました。
売上高は右肩上がりで堅調に推移し、
2020年の売上高は前年比+103%の2.9億ドルに!
マルケタの業績を見ると、2020年には600億ドルのトランザクションを処理しています。2019年は217億ドルでした。2020年のダラー・ベースト・ネット・リテンション率(ドル建ての売上膨張率)は200%でした。
また、2021年3月末で締めた四半期には240億ドル(前年同期比+167%)のTPV (Total Payment Volume:総支払額)を、2020年通年には601億ドル(前年比+177%)のTPVを処理しました。
2020年通年のマルケタの売上高は2.9億ドル(前年比+103%)でした。なお四半期売上高を見ると、下のグラフのように堅調に推移しています。
2020年の粗利益は1.18億ドル(2019年は6050万ドル)、2020年の修正EBITDA(利払い前・税引き前の償却前利益)は2.93億ドル(2019年は1.43億ドル)でした。四半期ごとの修正EBITDAマージンは、下のグラフのように推移しています。
なお、2020年の赤字は4770万ドルでした。
【今週のまとめ】
高い成長力と参入障壁を持つ「マルケタ」は、
今後の成長が期待できる要注目銘柄!
マルケタは、クラウド上に構築されたカード発行プラットフォームを提供しており、フィンテック企業やネット企業などのウェブ・デベロッパーはその機能を自社のサービスに組み込むことができます。
トランザクション数が増えれば増えるほどマルケタにも対価が入る仕組みになっており、売上高は右肩上がりで成長しています。また、カード発行プラットフォームは高い技術力や財務力が要求されるため、その分、参入障壁が高いビジネスと言えます。
マルケタの動向は、今後もチェックしておくといいでしょう。
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