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米国の債券市場を震源地に、日米株式市場がボラタイルな(値動きの激しい)動きを続けています。
米国では、急ピッチな景気回復に伴う物価上昇、すなわちインフレ期待の高まりに加え、大型の経済対策の策定に伴う国債増発による債券需給の悪化懸念の高まりから、長期金利の先高観が強まっています。そして、この長期金利の上昇が、とりわけ、高PERのグロース系の代表格であるハイテク株の売り材料になっています。
例えば、3月5日の米国10年債利回りは、前日比0.01%高の1.57%で、一時は1.62%と昨年2月以来の高水準を付ける場面がありました。
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3月5日は、2月の米国の雇用統計の改善が債券の売り材料になりました。行動制限の緩和効果によりレジャー・接客業を中心に就業者が増えたことで、2月の非農業部門雇用者数は前月比37.9万人増と、市場予想の21万人増を超えて増加しました。さらに失業率は、市場コンセンサスの6.3%に対して6.2%と小幅に低下しました。この良好な雇用統計を受けて債券が売られ、米国10年債利回りは一時1.62%まで上昇したのです。ただし、その後は値頃感から買い戻され、1.5%台に低下しました。
「ワクチンの普及」と「大型経済対策の成立」により、
今後、米国経済が急速に成長することはほぼ確実!
ところで、3月2日にバイデン米大統領は「5月末までに米国の成人全員分のワクチンを確保できる」と述べています。この発言を受け、金融市場では、ワクチン普及を主因に、今後の米国経済の回復ピッチが加速するとの見方が強まっています。
それに加え、米国では大型経済対策が早晩成立し、実施される見通しです。米国議会上院は3月6日、バイデン大統領が提案した1.9兆ドルの新型コロナウイルス対策法案を一部修正し、可決しました。修正法案は下院で再審議され、3月14日までの成立が見込まれています。
上院は、対象者の所得上限を下院案の10万ドルから8万ドルまで引き下げ、1人最大1400ドルの現金給付を盛り込んでいます。この現金給付が、4月以降の米国の個人消費を短期的に大幅に押し上げる可能性が指摘されています。
ワクチン普及による行動制限の緩和からの経済正常化効果に加え、現金給付による個人消費押し上げ効果の「ダブル効果の発現」で、今後の米国経済の高成長はほぼ確実と言えます。ちなみに一部では、2021年1~3月期の米国の実質GDP成長率は10%超え、2021年の成長率は7%と、1984年以来の高水準となるとの予測も出ています。
3月12日のメジャーSQを終えるまでは、
米国の長期金利が日経平均株価の動向を大きく左右する
このように米国の長期金利に先高観が強まっている状況下、3月4日にパウエルFRB議長はウォール・ストリート・ジャーナル紙の公開インタビューで、足元で上昇基調にある米国の長期金利について「金融市場に持続的な逼迫がみられるようなら懸念する」と述べるにとどめ、長期金利上昇抑制に向け、具体的、かつ踏み込んだ対策には触れませんでした。よって、FRBは現在の1.6%程度の水準は容認していると見てよさそうです。
なお、市場では、3月10日の10年物米国債、11日の30年物米国債の入札への関心が高まっています。一方、16~17日のFOMCを直前に控え、FRB高官は、金融政策に関する発信を控える「ブラックアウト期間」に入っています。このため、万が一、入札が不調に終わり、米国10年債利回りが一時的に急騰したとしても、FRB高官による“口先介入”が期待できない点には注意が必要です。
こうなると、多くの投資家は、入札が無事に通過することを見極めるまでは、腰を据えて株式を買うことはできそうにありません。
また、日本では、3月12日が3月物の先物・オプションのSQ算出日(メジャーSQ)です。経験則上、メジャーSQの週には日経平均株価が大きく上下に振れることが多々あります。
今回のSQ週に関しては、米国の長期金利の動向がカギを握るでしょう。これが低下するようならば米国株が上昇するため、日経平均株価は大きく上振れることでしょう。逆に、上昇するようなら米国株は急落し、日経平均株価も大きく下振れることになると見ています。
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「グロース株一極集中」に対する強烈な巻き戻しにより、
3月相場では「シクリカルバリュー株」が狙い目に!
それにしても、3月8日の米国株式市場では、NYダウが続伸し、前週末比306.14ドル(1.0%)高の2万1802.44ドルでした。一方、ナスダック総合株価指数は反落し、同310.987ポイント(2.4%)安の1万2609.161ポイントでした。また、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は同158.00ポイント(5.4%)安の2762.75ポイントでした。
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これは、景気敏感株(シクリカル株)が買われた一方で、ハイテク株が売られたことによるものです。もう少し具体的に言えば、行動制限の緩和や経済活動の正常化、個人消費回復、長期金利上昇、商品市況活況でメリットを享受する「娯楽・レジャー」「銀行」「ノンバンク」「資源」などの景気敏感株が買われたのです。その一方、高PERのグロース株は換金売りを浴びました。
この物色傾向は、米国の長期金利がピークアウトするまで継続すると見ており、東京株式市場でも同様の物色傾向が続くことになると考えています。
また、3月の期末接近で、配当への関心も一段と強まることでしょう。このため、3月相場では、景気敏感株のうち、好業績が見込め、予想PERが低く、予想配当利回りの高い銘柄群の人気が高まりそうです。
一方、グロース株は、目先は物色圏外に放置されることになると見ています。とりわけ、個人投資家の関与率が高く、機関投資家の関与率の低い新興市場などの高PERの小型材料株に関しては、換金売りを浴びやすい環境が続く可能性が高いと懸念しています。
ただし、現在の物色傾向は、コロナショック発生後からこれまでに顕著になっていた「グロース株買い+シクリカルバリュー株売り」の強烈な巻き戻し、すなわち、シクリカルバリュー株の水準訂正が起こっているに過ぎません。
昨年3月頃を起点にした「グロース株一極集中」は「一本足打法」であり、むしろ相場の安定性の観点からは脆弱でした。しかしながら、その是正が実現しつつあることで、相場は安定性が大幅に高まり、健全性を取り戻し、上昇相場の寿命は大幅に伸びることになったと見ています。
よって、3月相場では「シクリカルバリュー株」の水準訂正相場でガッツリ儲けることに集中しましょう。
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