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12月13~14日のFOMCでは0.5ポイントの利上げとなる一方、
2023年の政策金利の見通しが引き上げられる可能性あり!
FRBの強烈な金融引き締めにもかかわらず、足元で発表されているマクロ経済指標が非常に強いため、利上げの長期化やターミナルレート(利上げの最終到達点)引き上げへの懸念が強まり、米国株式が軟調に推移しています。
12月2日に発表された11月の米・雇用統計では、平均時給が前月比0.6%増と市場予想の0.3%増を上回り、今年1月以来の大きな伸びを示しました。また、非農業部門雇用者数も26万3000人増と、市場予想の20万人増を上回る増加となりました。この非常に強い雇用統計を受けて、市場では「米国の労働市場の引き締まりを背景にインフレ圧力が強い状態が続き、FRBによる利上げが長期化する」との観測が浮上しました。
また、12月5日発表のISM非製造業指数は56.5と10月の54.4から改善し、市場予想の53.7も上回りました。景況指数、雇用、在庫、輸入項目がそれぞれ上昇し、全体指数を押し上げた結果ですが、これは予想外の改善でした。
このような好調な指標発表が相次いでいることもあり、ウォール・ストリート・ジャーナルは12月5日、「13~14日に開かれるFOMCでは利上げ幅が0.5ポイントに縮小される一方で、2023年の政策金利の見通しが引き上げられる可能性がある」と報じました。また、市場の一部では「12月のFOMCで0.5ポイントの利上げを実施した後、2023年1月31日〜2月1日開催の次回FOMCでも同じ0.5ポイントの利上げを行われる可能性がある」と指摘されています。
なお、FRBは12月3日からFOMC前に発言を控える「ブラックアウト期間」に入ったため、FRB高官の発言から今後の金融政策のヒントは掴むことはできません。そんななか、市場の関心はターミナルレートに集中しているようです。これについては、今後発表されるマクロ指標次第ですが、現時点では「5.00〜5.25%」が有力のようです。
「現在好調なマクロ指標がいつ悪化するのか」が
日本と米国で株式投資をする際の最重要ポイントに!
このような状況下、12月5日の米国10年債利回りは、前週末比で0.08ポイント高い3.57%で取引を終えました。
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一方、金融政策の影響を受けやすい米国2年債利回りは前週末比で0.11ポイント高い4.38%でした。相変わらずの「逆イールド(利回り曲線の逆転現象)」です。過去20年間、この「逆イールド」が続いた後はいずれの場合も景気が後退したそうです。このため、FRBが金融引き締めを継続した結果、米国経済が「オーバーキル」の状態になることを懸念しておく必要が常にあるのです。
ちなみに、好調な米国の雇用統計とISM非製造業景況感指数を嫌気する格好で、12月5日のNYダウは反落し、前週末比482.78ドル(1.40%)安の3万3947.10ドルでした。また、ナスダック総合株価指数は続落し、同221.56ポイント(1.93%)安の1万1239.94ポイントとなりました。
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現在は「FRBの金融引き締め+好調なマクロ指標」のため、過度な景気悪化への懸念が強まり難く、米国株式は底堅く推移しています。しかしながら、次のステージは「FRBの金融引き締め+悪化するマクロ指標」となる見通しです。このケースでは、米国株式は底値が見え難い状態に陥ることが危惧されます。「それが今後いつ始まるのか」が日米ともに株式投資をする際の最重要ポイントとなりそうです。
中国がゼロコロナ政策を緩和する方向に向かう一方で、
アップルなど民間企業が生産拠点を中国国外に移転する流れが加速
それはさておき、欧州連合のミシェル大統領と中国の習近平国家主席が、12月1日に北京で会談しました。その会談で習氏は、現在蔓延しているコロナは、致死率が比較的低いオミクロン変異株だとの認識を示したそうです。この発言を受け、中国の指導部がこれまで3年にわたって続けてきた厳格なゼロコロナ政策を一段と緩和する方向に向かう可能性が、市場で意識されつつあります。実際、深センでは公共施設に立ち入るための新型コロナウイルス検査が必要でなくなるなど、地方当局によっては緩和されるケースが増えているようです。
中国では、ゼロコロナ政策が続くことへの反発が噴出した抗議デモが各地に広がり、中国共産党20回党大会で3期目をスタートした習近平体制を揺さぶっています。この対応として、住民の要求をのむ形でPCR検査の中止や商業施設の再開など隔離政策緩和の動きが出始めています。これは政治リスクの低下のみならず、中国経済の正常化という意味でも世界経済にとってポジティブな材料と言えるでしょう。
その一方で「アップル(AAPL)が生産拠点の一部を中国国外に移す計画を加速している」との噂が報じられています。2022年に入ってアップル製品の納期遅れや品不足が目立っていました。その主因は、生産拠点のある中国の主要都市がゼロコロナ政策によりロックダウンされたからと見られます。このような状況を受け、「アップルは事業の大部分を中国一国に集中させることは問題だと感じ始めた」と指摘されています。
米中の対立は現在も続いており、中国のゼロコロナ政策が緩和される可能性が高まっているとはいえ、多くの西側諸国の民間企業の「脱中国依存」の動きは加速するのかもしれません。ちなみに、アップルの移転先の主な候補地は、インドやベトナムなどアジア諸国とのことなので、今後インド経済やベトナム経済のさらなる発展が期待できそうです。
2023年の株式相場は「ベアマーケット」が継続しながらも、
リーマンショックのような大暴落は発生しない見通し
それにしても、2022年も残すところ1カ月弱となりましたが、相変わらずFRBが強烈な金融引き締めを断行し、自国景気を全力で人為的に悪化させようとしている「異常事態」が続いています。このため世界的な「ベアマーケット」が継続していますし、この状態は残念ながら2023年も続くとの認識です。ですから、2023年も「Don't fight the FED」の精神を忘れてはなりません。
ただし、過去のショック安は基本的に「民間の過剰債務」が主因でしたが、現在の株安の主な要因は「FRBの金融引き締め」だけです。このため、リーマンショックのような流動性危機(金融危機)は起こらないので、米国の株式相場が底抜け(大暴落)することないでしょう。それでも「下落後にベアマーケットラリー(下落相場における一時的な上昇局面)の発生」を何度も繰り返し、米国株は(急落ではなく徐々に)上値と下値を切り下げる展開を覚悟しています。
一方、日本に関しては、日銀が金融緩和を継続しているため、金融引き締めを継続している米国の株式に対して相対的に強い値動きを予想しています。それでも、米国の値動きに右往左往することは不可避でしょう。よって、当面は「安易な強気転換はせず、上がれば弱気、下がれば強気の逆張りスタンス」で相場に臨むことをおすすめします。
また、くれぐれも、株価が25日移動平均線よりも上で推移していて、かつ需給が良好な銘柄だけでポートフォリオを構成するようにしてください。特に、個人投資家の関与率の高い小型株については、12月は「節税売り」「見切り売り」「IPO銘柄購入の資金捻出の売り」が出やすいので要注意です。とりわけ、値動きの悪い銘柄には売り圧力が高まるため、需給の悪い銘柄に関しては決して我慢して持たないようにして欲しいと思います。
難易度の高い株式相場ですが、最高の気分で2022年の投資を終えることをお祈りしています。
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