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※藤井英敏さんの最新記事はこちら!(2020年3月13日公開)
⇒日経平均株価の大暴落は、下値メドが見えない“フリーフォール”状態! 3年4カ月ぶりに1万7000円を割った今回の暴落を止めるには、大規模な財政出動が必要!
新型コロナ・ショックに加え、原油価格の暴落(逆オイル・ショック)を受け、金融・為替市場は大混乱です。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟国は3月6日、ウィーンで閣僚級会合を開いたものの、減産強化を主張するサウジラビアと石油市場でシェア低下を恐れるロシアとの溝が埋まらず、決裂しました。もともと、新型コロナウイルスにより世界的に需要が減少するとの懸念から原油価格は弱含みだったため、今回の交渉決裂がトリガーとなって原油先物価格が暴落したのです。
3月9日のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は、25%安の1バレル=31.13ドルでした。下落率は湾岸戦争が始まった1991年2月に次ぐ過去2番目の大きさとなったのです。
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原油安を受けて米国株が「パニック売り」に陥る一方、
米国債、金、円などの安全資産は「パニック買い」が発生!
現在、米国は産油国です。今回の原油安を受け、米国のエネルギー業界では雇用喪失や設備投資の大幅な減少が起こる見通しです。このため、短期的にはマイナスのインパクトが大きいのです。また同時に、原油先物価格急落を受け、財務基盤がぜい弱な米シェールオイル関連企業の信用リスクの高まりも意識されました。3月9日の米国株式市場はこれらの懸念を一気に織り込みにいきました。
具体的には、3月9日のNYダウ(ダウ工業株価平均指数)は3日続落、前週末比2013.76ドル安の2万3851.02ドルで、下落幅は過去最大でした。また、ナスダック総合株価指数は3日続落、同624.942ポイント安の7950.676ポイントでした。そして、S&P500指数も3日続落し、7.6%安の2746.56ポイントでした。ちなみに、S&P500指数は一時、下落率が7%を超えた時点で「サーキットブレーカー(自動的な取引停止措置)」が発動される場面もありました。正直、「パニック売り」が発生したと思っています。
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株式や原油などのリスク資産では「パニック売り」ですが、米国債、金、そして円などの比較的リスクの小さい安全資産では「パニック買い」が発生しています。
3月9日の米国10年物国債利回りは、前週末比0.22%低下の0.54%でした。一時0.31%を付け過去最低を大幅に更新する場面がありました。また、米国30年物国債利回りは0.27%低下の1.02%でした。こちらも一時は0.59%と初めて1%を割り込む場面がありました。
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また、NY金先物4月物は3日続伸、前週末比3.3ドル高の1トロイオンス1675.7ドルでした。そして、3月9日のNY円相場は3円も急伸し、1ドル=102円30~40銭でした。一時は101円18銭と、ほぼ3年5カ月ぶりの高値を付ける場面がありました。
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東証一部上場銘柄の約99%が値下がりし、
日経平均株価は1年2カ月ぶりに2万円の大台を割り込む!
3月9日の米国株式市場における投資家の狼狽ぶりは、VIX指数を見ればわかります。VIX指数は一時、前週末より5割近く高い48.12%高の62.12まで上昇する場面がありました。取引時間中としては、リーマンショック時の2008年11月下旬以来の高水準です。終値は多少伸び悩んで前週末比12.52(29.85%)高の54.46でしたが、不安心理が高まった状態とされる20を大きく上回っています。
ちなみに、3月9日の日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は、前日比11.3(31.03%)高の47.71で、一時48.89まで上昇する場面もありました。これは2016年2月12日の49.84以来、およそ4年1カ月ぶりの高値水準です。
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そして3月9日の日経平均株価は、前週末比1050.99円(5.07%)安の1万9698.76円でした。終値ベースでの2万円大台割れは2019年1月4日以来、1年2カ月ぶりのことです。また、下げ幅は2018年2月6日の1071.84円以来、2年1カ月ぶりの大きさでした。
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3月9日の東証1部の値下がり銘柄数は、2138と過去最多となり、東証1部上場2165銘柄のうち、98.75%が値下がりしました。まさに全面安でした。
これは急激な円高と原油安が嫌気された結果です。まず、東京外国為替市場ではドル/円相場が一時1ドル=101円台まで急上昇しました。また、NY原油先物も、日本時間3月9日の時間外取引で売りが止まらず、WTI期近4月物は一時1バレル27ドル台まで下げる場面がありました。
給与税の引き下げや中小企業を対象にした融資制度の創設など、
日米の政府・中央銀行は危機打開に向け積極的に動く
株式市場だけでなく、原油や為替、国債などがそろってパニック状態となり、VIX指数にしても日経平均VIにしても、異常な高値水準となっています。先行きに関しては、これらが20を下回ってくるまでは、S&P500指数や日経平均株価の下値不安が後退することはないと見ています。
このような状況で、多くの個人投資家の投資元本は大幅に毀損し、先行きへの不安も募らせていると推察されます。しかしながら、このような危機的な状況に対して、日米の政府・中央銀行も手をこまねいているわけではありません。危機打開に向けて動いています。
米国でまず動いたのは米連邦準備理事会(FRB)でした。FRBは3月3日、臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を、年1.50~1.75%から年1.00~1.25%に、0.5%引き下げました。そして、日本時間10日朝(現地時間9日)、トランプ米大統領が、景気下支えのために給与税の引き下げなどの措置を10日に議会と協議すると明らかにしたと、伝わっています。
一方、日本でも、2月13日にまとめた新型コロナ緊急対策第1弾(主に観光業などの中小企業向けに5000億円の低利の緊急貸付・保証枠の設定)に続き、3月10日に、政府が緊急対策の第2弾を取りまとめます。この第2弾では、中小企業を対象にした実質無利子・無担保で融資する5000億円超の新制度を創設することや、フリーランスや自営業の保護者に一律で日額4100円を助成することなどを盛り込むそうです。
日経平均株価の今後の見通しは、
リーマン危機後の「PBR0.81」が下値メドの参考に
日経平均株価の今後の見通しですが、相場のさらなる混乱が発生した場合の下値メドとしては、リーマン危機後の2009年3月にPBR0.81倍まで低下したことが参考になるでしょう。ちなみに、PBR0.81倍の水準は、3月9日ベースの1株あたり純資産(BPS)から計算すると1万7157円です。
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「VIX指数」や「日経平均VI」が高止まりしている間は、
値動きの激しい不安定な相場が継続
現在は日米ともにハイボラ相場(VIX指数・日経平均VIが高騰後、高止まりしている相場)が継続しているため、リスクパリティ型ファンドからの機械的な売りが出続けるでしょう。また、相場急落を受け、信用取引を行っている個人からの追証絡みの売りもしばらくは出続ける見通しです。このため、日米ともにハイボラ相場が継続している間は、値動きが激しい、不安定な相場が続くことは覚悟しないといけません。
しかしながら、政府・中央銀行の政策が浸透し、世界的な新型コロナの感染拡大が収束に向かうメドが立てば、日米ともに株式市場は力強く底を打つと考えています。
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