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米国でFDAが新型コロナワクチンを承認したので、
「理想買い、現実売り」の法則からワクチン株は売り
12月11日の夜遅く、米国食品医薬品局(FDA)は米国のファイザー(ティッカーシンボル:PFE)とドイツのバイオンテック(ティッカーシンボル:BNTX)が共同開発した新型コロナウイルス向けワクチンを緊急使用承認(EUA)しました。
相場の格言に「理想買い、現実売り」というのがあります。これは「投資家が待ち望む良い知らせがもたらされたとき、その好材料はすべて株価に織り込まれており、その株は逆に下落しやすい」という意味です。
この法則を当てはめれば、下のようなワクチン株は「売り」となります。
| ■主な「新型コロナ向けワクチン」銘柄 | |
| 銘柄(ティッカーシンボル) | 概要 |
| バイオンテック(BNTX) | mRNAに基づくワクチン |
| モデルナ(MRNA) | mRNAに基づくワクチン |
| アストラゼネカ(AZN) | オックスフォード大学とワクチンを共同開発 |
| エマージェント(EBS) | アストラゼネカのワクチンなどの下請け |
同様に、航空会社やホテル、クルーズ、レストランなどのいわゆる「リア充」銘柄も、一旦は「良いニュースは出尽くした」と判断すべきです。
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| ■主な「リア充」銘柄 | |
| 銘柄(ティッカーシンボル) | 概要 |
| デルタエアラインズ(DAL) | 航空会社 |
| ハイアット・ホテルズ(H) | 高級ホテルチェーン |
| カーニバル(CCL) | クルーズ船 |
| チーズケーキファクトリー(CAKE) | レストラン |
新型コロナワクチンの第1回配布分は、
まずは医師や看護婦、老人ホームの入居者などに投与される
新型コロナウイルス向けワクチンは、生産量が限られているので、当初は医師や看護師など、新型コロナ入院患者のケアの最前線で戦っている医療関係者に優先的に投与されます。
そもそも緊急使用承認(EUA)では、通常の薬の流通経路は一切使用せず、政府が指定する一握りの大病院などに直接ワクチンが届けられます。つまり、流通は厳格に管理されます。
次にワクチンの投与を受けるのは、老人ホームなど、クラスタが発生すると特に酷い状況になりやすいハイリスクな施設に住む人たちです。これについては、CVSヘルス(ティッカーシンボル:CVS)とウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(ティッカーシンボル:WBA)のスタッフが全米5万カ所の老人ホームに直接出向き、主張サービスでワクチン注射を行う準備中です。
以上の対象者をすべて含めると、第1回配布分となる2250万人分のワクチンが、2021年1月前半までに投与可能だと言われています。
一般市民が新型コロナワクチンを投与できるのは、
早くても2021年5月〜6月以降になる見込み!
第2回配布分のワクチンは8700万人分で、警官や学校の教師、食肉工場の従業員、鉱山労働者などが投与の対象になると言われています。また、貨物航空会社のパイロットや地上作業員も今とても忙しいので、早くワクチンを打って安心したいという声が大きいです。この第2回配布分が行き渡るのは、2021年3月末だと言われています。
一般市民への投与は、第3回配布分以降になります。65歳以上の高齢者5300万人を含む1億人が対象になると予想されていますが、細かいことはまだ決まっていません。
いずれにせよポイントとなるのは、優先的にワクチンが投与される人々を除く一般の市民にワクチンが回ってくるのは、早くても2021年の5月か6月くらいだということです。
現在、新型コロナウイルスによる米国での死者数は、1日3000人のペースで増えています。このため、再び休業するレストランが増えています。つまり、足下の景気は、ワクチン承認で一気に盛り返すどころか暗転しているわけです。
また、ファイザー/バイオンテックの新型コロナウイルス向けワクチンは、マイナス70度という超低温で保存する必要があります。すでにファイザーは、特別に工夫を凝らした梱包方法を編み出しているため、ワクチンの輸送に際して特別な設備は必要ありません。しかし、実際に大量のワクチンの出荷が始まれば、いろいろな問題が噴出することも十分に予想できます。
ワクチンが行き渡るまでに景気の“腰折れ”リスクもあるので、
今はむしろ「リモートワーク関連銘柄」に妙味が!
新型コロナワクチンの承認は素晴らしいニュースです。投資家はこれまでワクチンに希望をつないで株を買ってきました。
「ワクチン実用化」という夢が現実になった今、投資家が次に考えるのは「いつ自分にもワクチンが回って来るのか?」ということです。「よく効くワクチンが存在するのに自分は後回しにされ、いつ順番が回って来るのかわからない」という状況ほどイライラさせられることはありません。
ワクチン承認のニュースと実際にワクチンが届く時期の間には大きなギャップがあります。その間にも新型コロナウイルスは猛威をふるっているわけで、景気にも腰折れリスクがあります。長期金利もワクチン承認後、上昇するどころか逆に下落するリスクがあります。
こうした環境では、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ティッカーシンボル:ZM)やマイクロソフト(ティッカーシンボル:MSFT)のようなリモートワーク関連銘柄にむしろ妙味があるように思います。興味のある人は、検討してみるといいでしょう。
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