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米国の失業率が目安の「4%」を下回ったことで、
FRBの「利上げを始める条件」が達成された可能性は高い
1月5日に公表された2021年12月のFOMCの議事要旨によれば、FRBは2022年3月にも利上げに動く可能性を示し、さらに早期に保有資産の縮小(量的引き締め:QT)を始める構えを見せました。
1月7日に米国で発表された2021年12月の雇用統計では、非農業部門の就業者数が前月比19万9000人増加し、失業率が11月の4.2%から3.9%に改善しました。また、12月の平均時給は4.7%上昇しました。
FRBが利上げを始める条件として注視しているのが「最大雇用の達成」です。その最大雇用を判断する指標の一つである失業率が目安とする4%を下回ったため、FRBは「最大雇用の達成が近い」と判断している可能性が高いのです。
利上げ観測で米国の金利が上昇したことにより、
高PERのハイテク株を中心にグロース株が売られる
このような状況を受け、米国の金融市場は、2022年中に4回の政策金利引き上げを織り込みつつあり、長期金利は上昇(債券価格は下落)しています。同時に、リスク資産である株式も売られており、とりわけ、株価指標で割高な高PERのハイテク株を中心にグロース株が売られています。
1月10日の米国の10年物国債利回りは、前週末と同じ1.76%で終えましたが、朝方に1.80%をつける場面がありました。また、金融政策の影響を受けやすい2年物国債利回りは、前週末比0.03%高の0.89%で終えましたが、一時は0.91%と2020年3月以来の高水準をつけました。このように、FRBの金融引き締めの前倒し観測に伴う債券売りが加速しています。
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一方、1月10日のNYダウは4日続落し、前週末比162.79ドル安の3万6068.87ドルでしたが、午前中には一時591.75ドル安まで売り込まれる場面がありましたが、米国の長期金利の上昇が一服するとハイテク株が買い直され、下げ渋りました。
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また、ナスダック総合株価指数も、10日の午前中には2.7%安まで下落率が拡大する場面がありましたが、債券売りが一服したことで買い戻され、結局、前週末比6.926ポイント高の1万4942.828ポイントで取引を終えました。
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このように、米国の株式市場は、債券市場の動向に極めて敏感かつ神経質になっています。
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米国の株式市場の落ち込みに影響されて、
日経平均株価と東証マザーズ指数はともに下落!
米国株の下落の影響は当然、日本株にも及んでいます。日経平均株価は、1月4日の大発会こそ大納会比510.08円高と好調なスタートを切りましたが、翌5日は前日比30.37円高と伸び悩みました。そして、6日は同844.29円安と、新年2日間の上げ幅を一気に打ち消して下落。7日は同9.31円安と下げ渋ったものの、3連休明けとなる11日は前週末比256.08円安の2万8222.48円と続落しています。
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「米国の長期金利上昇⇒グロース株安」の影響をもろに受けているのが、グロース株が多い東証マザーズ市場です。1月7日の東証マザーズ指数は5営業日ぶりに反発したものの、終値は前日比1.20ポイント高の883.15ポイント。そして11日の東証マザーズ指数は、前週末比0.06ポイント高の883.21ポイントでした。6日まで2日続けて約5%の大幅安となっていたことを考慮すると、反発力は極めて乏しかったと言えるでしょう。
なお、マザーズ市場が軟調の原因に関しては、米国のグロース株安以外に、昨年末のIPOラッシュに伴う需給悪化も大きく影響しているはずです。
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テクニカル的には、1月11日の東証マザーズ指数の終値は883.21ポイントと、5日移動平均線(11日現在910.55ポイント)、25日移動平均線(同986.05ポイント)、75日移動平均線(同1076.50ポイント)、200日移動平均線(同1125.58ポイント)をすべて下回っています。少なくとも25日移動平均線が上向きに転じるまでは「マザーズ冬の時代」が継続すると見ていますので、高PERのグロース株への「値ごろ感からの安易な押し目買い」は厳に慎むべきだと考えます。
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緊急事態宣言が発令されても経済全体への影響は限定的だが、
飲食や旅行、ホテル、レジャーなどの業界への悪影響は甚大に
ところで、1月9日、新型コロナウイルスの「まん延防止等重点措置」が、沖縄県と山口県、広島県に適用されました。飲食店の営業時間や酒類提供が制限され、各地の繁華街は人出が減少しているそうです。また、東京都の10日の新規感染者も871人と、足元で急増しています。
このような状況を受け、岸田文雄首相は1月11日、外国人の新規入国の原則停止を柱とする新型コロナウイルスの水際対策は「2月末まで現在の骨格を維持する」と表明しました。また、岸田首相は、6日収録のBSテレ東「NIKKEI 日曜サロン」で緊急事態宣言の発令について問われ、「必要であれば、さまざまな人流抑制などの取り組みは用意しなければならない」と述べたそうです。このため、今後も感染拡大が続くようだと、再び、緊急事態宣言の発令と、それによる経済への悪影響を意識しなければなりません。
その一方で、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」に関して、重症化リスクは低いとの認識が広がっています。また、ワクチンの普及もあって行動制限が長期化する可能性が低そうです。このため、万が一、緊急事態宣言が発令されたとしても、経済全体への悪影響は深刻なものにはならないでしょう。ただし、飲食、旅行、ホテル、レジャー、ブライダル、そして空運業界などへの影響は甚大だと見られます。よって、アフターコロナ関連の銘柄については、新規感染者数のピークアウトを見極めるまでは、様子見を決め込むことをおすすめします。
FRBが「インフレファイター」に変身済みである以上、
投資家は長期金利の上昇に強い銘柄に投資すべき!
それはさておき、ウォール街の有名な格言に「FRBには逆らうな」というものがあります。1月11日のパウエルFRB議長の公聴会に関して、事前公表した冒頭発言によると「経済と強い労働市場を支え、高インフレが定着するのを防ぐために我々の政策手段を用いる」と述べる見通しです。このように、FRBが「インフレファイター」に変身済みである以上、投資家はインフレ(長期金利の上昇)に強い銘柄)に投資するべきです。
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なお、JPモルガンのダイモンCEOは1月10日、米国のCNBCの番組で「予想以上にインフレが悪化し、人々が思っている以上に利上げが進む可能性もある」と指摘したそうです。
以上のことから、想定を超える金利上昇があったとしてもびくともしないポートフォリオの構築を最優先に、相場に臨んでください。
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