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【日本株】2024年以降も「株高+円安+金利高」継続!「新NISA」の好影響もあり、外部環境が劇的に悪化しない限り、日本株への積極的な投資がおすすめ!

2023年9月19日公開(2023年11月11日更新)
藤井 英敏
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植田日銀総裁の発言に関するブルームバーグの記事により、
「マイナス金利政策の早期解除」を巡る思惑が後退!

 9月15日14時に、経済ニュースサイトのブルームバーグが「植田総裁発言と市場解釈にギャップ、日銀の認識ほぼ変わらず −関係者」と題した記事を配信しました。当該記事によれば、植田総裁が9日付の読売新聞が報じたインタビューでマイナス金利政策の解除時期について「十分な情報やデータが年末までにそろう可能性もゼロではない」との認識を示したことに対して、「総裁発言は従来と比べ踏み込んだ内容ではないと日銀内では受け止められている」「関係者は『ゼロではない』との発言について、一般論にすぎないと指摘した」とのことです。

 これを受け、東京株式市場では、マイナス金利政策の早期解除を巡る思惑が後退しました。金利上昇による利ざや改善への期待で買われた三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)三井住友フィナンシャル・グループ(8316)みずほフィナンシャル・グループ(8411)の3メガバンク株は、9月15日の12時47分に揃って年初来高値を更新していましたが、このブルームバーグの報道をきっかけに銀行株は一斉に売られました。。この日の東証業種別株価指数の銀行業は、12時47分に277.23ポイントの高値をつけた後、14時27分に266.30ポイントの安値をつけ、結局、268.37ポイントと、ほぼ安値で引けました。

 今週は、9月21〜22日に日銀の金融政策決定会合が開催されます。前回7月の会合では、長短金利を操作するイールドカーブコントロール(YCC)政策の運用について、「指し値オペ」の水準を従来の0.5%から1.0%に引き上げるなどの柔軟化を決定。その一方で、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現を見通せる状況には至っていないとして、0%程度としている長期金利の誘導水準と、マイナス0.1%の短期政策金利は据え置きました。
【※7月の会合についての関連記事はこちら!】
日経平均株価は「中長期の上昇トレンド」の“踊り場”に突入! 8月中旬からは「夏枯れ相場」に入るので、4~6月期の決算で銘柄を吟味して押し目で仕込んでいこう

 今回の9月の会合での声明文は7月のそれを踏襲し、植田総裁は、9日付の読売新聞でのインタビューでの内容を繰り返すだけということになりそうです。なお「マイナス金利解除」や「YCC撤廃」などは、来年2024年の春闘で賃上げがほぼ確実になる見込みが立った段階、もしくは実現した段階になると見られています。

日銀は、原油などインフレが加速しているにも関わらず
金融正常化に向けた一歩が踏み出せない「ジレンマ」を抱える

 ただし、7月の消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)が前年同月比3.1%上昇と、伸び率は6月の3.3%から縮んだものの、日銀が掲げる2%の物価目標を16カ月連続で上回っています。ちなみに8月の消費者物価指数は、9月22日の8時30分に総務省から発表されます。

 足元の物価動向は、日銀の想定以上に強く推移しているはずです。例えば「経済・物価情勢の展望(2023年7月)」における「物価の中心的な見通し」によれば、「原油価格については、先物市場の動向などを参考に、見通し期間終盤にかけて緩やかに低下していく前提」となっていました。しかしながら、9月18日のWTI原油先物の期近である10月物は、一時1バレル=92.33ドルと、期近物として2022年11月上旬以来の高値をつける場面がありました。

■原油(WTI原油先物)チャート/日足・3カ月
原油(WTI原油先物)チャート/日足・3カ月原油(WTI原油先物)チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 原油先物高の背景は、9月5日にサウジアラビアが自主的な減産を12月まで延長すると表明したことに加え、同日、ロシアも年末にかけて原油輸出を減らす方針を表明して、需給を引き締める姿勢を鮮明にしているからです。また、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は、9月18日に「OPECプラスの供給削減は市場安定化に必要」との趣旨の発言をしたそうです。

 こうなると、原油先物相場は今後も高止まりしたり、さらに上値を追っていったりする可能性もありそうです。つまり、7月時点の日銀の原油価格に関する想定は外れていると考えます。よって、次回の10月会合(10月30〜31日開催)での「経済・物価情勢の展望(基本的見解)」で、物価見通しの上方修正を余儀なくされることになると考えています。

 ですが、それでも日銀は、政策の大胆な修正はできないし、しないと思います。というのは、7月の毎月勤労統計調査によると、1人当たりの賃金は物価を考慮した実質で前年同月比2.6%減と、16カ月連続のマイナスだったからです。足元の物価の上昇ピッチに賃金の伸びが追いつかず、減少幅が6月の1.6%から拡大しているのです。企業がさらなる賃上げを実現する確度が高まるまでは、日銀は、現在インフレが進行中で今後もインフレが加速する可能性があるにもかかわらず、金融正常化に向けた一歩が踏み出せないという「ジレンマ」を抱え続ける見通しです。

FOMCで2024年末の金利の予想中央値が引き上げられれば、
「米・長期金利の上昇⇒円安・ドル高が加速」の可能性も!

 日銀がなんと言おうが、今の日本経済の状況は、もはやデフレではなく、インフレの初動に入っていると、私は考えています。インフレなのに、超絶金融緩和を続ければ、日本円は対主要通貨で売り込まれるリスクが高まります。実際、9月18日のNY市場におけるドル/円相場は5日ぶりに反発したとはいえ、9月15日まで4日続落し、前日比35銭円安・ドル高の1ドル=147円80~90銭で取引を終了。一時は147円95銭と、2022年11月上旬以来およそ10カ月ぶりの円安・ドル高水準をつける場面もありました。日米金利差拡大を主因に、円は売られやすい通貨になっているからです。

 一方、9月18日のNY債券市場では、長期債相場が3日ぶりに反発したとはいえ、米国10年債利回りは4.30%と、4%を大幅に上回って取引を終えています。

■米国10年債利回りチャート/日足・3カ月
米国10年債利回りチャート/日足・3カ月米国10年債利回りチャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 9月19~20日のFOMCについては、市場ではFRBは政策金利を据え置くとの見方が優勢です。しかしながら、9月のNY連銀製造業景況指数は1.9と市場予想のマイナス10.0を上回り、前月のマイナス19.0からも大きく改善しました。また、8月の輸入物価指数は、前年同月比では7カ月連続で下落しているとはいえ、前月比では0.5%上昇し、市場予想の0.3%を上回る伸びとなりました。このように、米国経済が堅調でインフレ圧力も根強いので、米国の長期金利に上昇圧力がかかり続けているのです。

 今回のFOMCについては、FOMCメンバーによる「政策金利水準の分布図(ドットチャート)」での2024年末の予想中央値(6月時点では4.625%)の水準への関心が高いようです。これが今回引き上げられるようだと「米・長期金利の上昇⇒円安・ドル高が加速」となるかもしれません。

 米国については、これまでのFRBの急激な金融引き締めによる「米国経済のハードランディング」の発生確率が高まったと多くの投資家が感じない限り、「米国株高+ドル高+米国債安(金利高)」が継続すると見ています。

日本市場は、外部環境が劇的に悪化しない限り、
「株高+円安+国債安(金利高)」が継続する見通し

 一方、日本では、国内に株式相場を崩すような材料が特段見当たりません。このため、外部環境が劇的に悪化しない限り「株高+円安+国債安(金利高)」が継続する見通しです。

 ようやく、日本にも「緩やかなインフレ」の時代がやってきています。デフレ時代の日本では、我々は自国通貨の円を現金(固定金利の定期預金、債券などを含む)で持っていればよかったのですが、インフレ時代では、現金で持ち続ければ時間の経過とともに実質的な資産価値が下がっていきます。このため、「円資産」の実質的な価値の低下を回避したければ、株式、金(ゴールド)などの貴金属、不動産などに投資して、インフレヘッジを講じ、「資産防衛」を実行することが必要となります。

 結論として、原油価格上昇の影響などで日本の消費者物価の上昇基調が続く限り、有効なインフレヘッジの手段である日本株への投資は、今後ますます活発に行われていくはずです。2024年1月にスタートする「新NISA」も呼び水となり、日本でもようやく「貯蓄から投資」の流れが本格的に加速することでしょう。
【※関連記事はこちら!】
「新しいNISA(新NISA)」のよくある疑問を解決! 2024年以降は「投資枠の拡大」「制度の恒久化」などが実現して、現行NISAよりもシンプルで使いやすくなる!

 よって、中長期スタンスでの日本株への積極的な投資をおすすめします。ただし、米国金利が高止まりしている、もしくは上昇基調を辿っている間は、日本でも「高PER+高PBRのグロース株」は避け、「低PER+低PBRのバリュー株」を選好しましょう。
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